口腔・咽頭科
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胃食道逆流症の病態と診断
斉藤 寿仁大塚 洋子倉井 宏明大川 真一郎
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2004 年 16 巻 2 号 p. 213-217

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抄録

胃食道逆流症Gastro esophageal reflux disease (GERD) は比較的新しい疾患概念で, 胃液が食道に逆流し不快な症状を起こしたり, 下部食道粘膜の障害を起こす疾患である.上部消化管内視鏡検査所見で食道粘膜にびらんや潰瘍を確認できる場合には逆流性食道炎と呼称している.本疾患の重要な特徴として胸やけなどの逆流による定型的自覚症状の有無や程度と食道粘膜の障害の程度 (内視鏡所見上の重症度) とは相関しないことが挙げられる.また, 逆流による自覚症状が非常に不快となり, 患者のQOLを著しく低下する場合があること, また様々な症状を呈することから診断治療の重要さが多くの論文にとりあげられている.
耳鼻咽喉科領域の症状としては咽喉頭異常感 (globus sensation), 音声障害, 慢性の咳嗽, 耳痛, 喉頭肉芽腫などがあり, Laryngo pharyngeal reflux disease (LPRD) と呼んでGERDから区別して診断することが多くなった.
GERDはいろいろな科に関係する症状を呈し, 診断に苦慮する場合も多いがプロトンポンプ阻害剤 (PPI) で劇的に症状を改善できる疾患で日常診療において常に念頭におく必要があると思われる.

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