2004 年 16 巻 3 号 p. 371-376
扁桃病巣感染が自己免疫疾患に関わることは想定されるが, その実態や発症機序の詳細は明らかではない.臨床例ごとに検討を積み重ねていくことが必要と考える.扁摘によって完治した稽留性肢端皮膚炎の50歳女性例, および13年間で13回扁桃炎に罹患して多発性硬化症の増悪を繰り返してきた後に扁摘を施行し症状が緩和した28歳女性例を報告した.両疾患ともこれまで扁桃病巣感染症の視点からは十分に検討されていない.いずれの症例も長期間に渡って慢性扁桃炎が放置されており, そのような自己免疫性疾患においては扁桃との関連性に積極的に着目していくことが大切と思われた.