2004 年 16 巻 3 号 p. 377-382
乳児期より左頸部腫脹を反復し, そのたびに頸部膿瘍切開排膿術を施行されていた.27歳時同様に左頸部腫脹をきたした際, 精査加療をすすめられ近医より当科紹介, 受診となった.下咽頭梨状窩瘻を疑い咽頭食道造影を施行したところ, 左下咽頭梨状窩より尾側にむけてのびる瘻孔が確認された.頸部CT, MRIでは反復感染が原因と思われる甲状腺左葉の萎縮を認めた.根治治療を希望され, 手術前日に1%ピオクタニンを内服させることにより, 手術中ピオクタニンで染色された瘻孔の局在が確認され, 瘻孔を完全摘出することができた.手術5日後咽頭食道造影を再検し, 痩孔が閉鎖しているのを確認した後経口摂取を開始した.現在のところ再発はみとめていない.