頻度が少なく診断に難渋しがちな「特殊な上咽頭炎」として, 結核, 放線菌症, マイコプラズマ, クラミジア, サイトメガロウイルス感染症を呈示した. 臨床的特徴として, 結核は20-40歳代の女性に白苔を伴う腫瘤または潰瘍性病変を, 放線菌症は男性に悪性腫瘍を疑う腫瘤性病変を, マイコプラズマは年長の小児から20代前半の若年者にイチゴ状に腫脹したアデノイドを, クラミジアは成人型封入体結膜炎に併発して発赤・腫脹を呈することが多い. サイトメガロウイルスの1例は33歳男性で, 上咽頭に肉芽腫性病変を認めた. これらの上咽頭炎は, 耳閉感, 咽頭痛, または鼻閉を訴え, 上咽頭の詳細な観察と組織生検を契機に診断に至る場合が多い.