口腔・咽頭科
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特殊な上咽頭炎の臨床
余田 敬子
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2007 年 19 巻 2 号 p. 225-234

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抄録

頻度が少なく診断に難渋しがちな「特殊な上咽頭炎」として, 結核, 放線菌症, マイコプラズマ, クラミジア, サイトメガロウイルス感染症を呈示した. 臨床的特徴として, 結核は20-40歳代の女性に白苔を伴う腫瘤または潰瘍性病変を, 放線菌症は男性に悪性腫瘍を疑う腫瘤性病変を, マイコプラズマは年長の小児から20代前半の若年者にイチゴ状に腫脹したアデノイドを, クラミジアは成人型封入体結膜炎に併発して発赤・腫脹を呈することが多い. サイトメガロウイルスの1例は33歳男性で, 上咽頭に肉芽腫性病変を認めた. これらの上咽頭炎は, 耳閉感, 咽頭痛, または鼻閉を訴え, 上咽頭の詳細な観察と組織生検を契機に診断に至る場合が多い.

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© 日本口腔・咽頭科学会
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