抄録
クマノミズキとウラジロエノキは屋久島で同時期に結実するが、結実様式が異なる。この2 種で採食する鳥類を比較することで、果実へのアクセスのしやすさが鳥類の採食樹種選択に及ぼす影響を探った。クマノミズキの果実は主にキビタキとヒヨドリが、ウラジロエノキの果実は主にメジロが採食した。また、クマノミズキの主要な採食者ではキャッチングが、ウラジロエノキの主要な採食者では歩行による果実までのアクセスが多かった。形態的特徴との比較より、各鳥類は得意とする移動様式を用いて果実にアクセスしていると考えられた。このことから、鳥類は得意とする移動様式での採食に適した結実様式の樹種を選択的に採食している可能性がある。