著者は，2013 年と2014 年に，本州最北端の青森市において，サシバの繁殖を確認した．2013 年は，一般的な経過で2 羽の雛が巣立った．2014 年は，オスから抱卵中のメスへの給餌がほとんど行われず，メスとオスとが交替で抱卵を行った．また，2014 年には，成鳥オスのヘルパーが雛の世話を手伝い，3羽の雛が巣立った．渡来後の寒い時期に，サシバの親鳥が食べた餌は，ほとんどがネズミ目や食虫目の小型哺乳類だった．孵化後の暖かい時期にサシバの雛が食べた餌は，小型哺乳類，カエル類，爬虫類，昆虫類など多様だった．親鳥の餌に小型哺乳類が多かったのは，青森市の寒冷な気候によると考えられた．
