抄録
日本では風力発電の普及にともない,風車が鳥類に影響を与える問題が懸念されている.影響の種類は,鳥類が風車にぶつかる「衝突」,風車周辺からいなくなる「生息地放棄」,渡りや移動の経路を阻害する「移動の障壁」の3 つがある.衝突は今まで国内で341 羽が発見され,トビ,オジロワシ,カモメ類,カラス類が多い.生息地放棄は京都府と三重県の例があり,いずれも風車周辺で鳥類の生息密度が減少した.移動の障壁は愛媛県のハチクマ,長崎県のナベヅル・マナヅルの例があり,いずれも風車建設後に飛翔経路が変わった.今後,日本では事後調査を積み重ね,どのような風車が鳥類に影響を与えるのか研究をさらに進めるべきである.