水利科学
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一般論文
中山間地域におけるため池を利用したゾーニング案
松井 明
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2018 年 62 巻 2 号 p. 74-83

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抄録

本ゾーニング案では,中山間地域を 3区域に分類した。農地として管理する区域(農地管理区域),草地および森林として管理する区域(農地外管理区域),まったく管理しない区域(天然林区域)にゾーニングし,ため池や水路などの水域でネットワーク化することを提案した。なお,本ゾーニング案は,小さな拠点づくりのための一方法を示したものである。条件不利地域にある耕作放棄地は,農地として再生することを諦める決断によって,中山間地域が有効活用されることが重要である。中山間地域で行われる水田農業は,ため池依存度が大きい。ため池は農業用水の確保だけでなく,生物の生息・生育場所の保全,地域の憩いの場の提供,洪水調整や土砂流出の防止など多面的な機能を有している。これらの機能を発揮させるためには,地方自治体が中心となって保全すべきため池を選定する必要がある。その上で,中山間地域と低平地地域が交流を深めることによって,中山間地域が魅力溢れる空間として国民に理解され,必要不可欠な社会的資産として生き残ることができる。

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© 2018 一般社団法人 日本治山治水協会
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