水利科学
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一般論文
近代水道行政の歩み
~水道条例と水道法を中心に~
梶原 健嗣
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2021 年 65 巻 5 号 p. 1-30

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抄録

水道条例の研究では,その制定の経緯から,公衆衛生と市町村経営原則に焦点を当てた研究が多くなされてきた。しかし,そうした研究の視角では,1911年,1913年の水道条例改正あたりまでしかカバーされず,戦後復興期,高度経済成長期と並ぶ「水道の隆盛期」である大正期以降が視野に入らない。この時期は,水道事業の「脱衛生化」が進むとともに,水道が地方利益化していった時代である。その大正期以降,水道条例の改正論が沸き起こる。改正論は上水協議会とその後継団体・水道協会がリードし,戦後の水道条例改正案も水道協会がリードした。 水道条例では明治初期の公衆衛生問題が,水道法ではその直前の閣議決定の重要性が強調されるあまり,その間の四半世紀の動きが軽視されがちである。 本研究は,その四半世紀にも焦点をあて,水道行政の2つの基本法を中心に,近代水道行政の歩みを考察するものである。

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© 2021 一般社団法人 日本治山治水協会
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