抄録
本研究は愛知県豊田市にある間伐遅れのヒノキ人工林を対象として,土壌侵食と表面流を同時に観測できる小型トラップ(受け口幅が0. 25m)を用いて,斜面スケールの土壌侵食と表面流の空間分布を把握し,最適なトラップ数についての検討を行った。小型トラップによって捕捉された土砂量と表面流量は15個のトラップごとに大きなばらつきがあり,そのばらつき方は土壌が乾燥している冬から春にかけて大きかった。ランダムサンプリング解析によって最適なトラップ数を検討した結果,トラップ数は少なくとも5 個あれば十分であり,それ以上増やしても空間的ばらつきの影響を小さくする効果が小さくなってゆくことが明らかとなった。これは,本研究で設定した観測プロットの総斜面幅である15m に対しておよそ8 %の斜面幅に相当する。