抄録
垂下養殖したホタテガイの成長に及ぼす流向・流速の影響を北海道鹿部町沖と増毛町沖で調べた。鹿部では前縁を北北西に向けて垂下した貝の成長が最も大きく, 後縁を北北西に向けて垂下した貝の成長が最も小さい値を示した。増毛では前縁を南西と北西に向けて垂下した貝の成長が最も大きい値を示した。一方, 鹿部では南東~南流, 増毛では北東~東南東流が卓越し, 流速は両海域とも概ね10cm/s以下で占められた。以上の結果から, 特定方向の卓越流が存在すれば, 垂下の向きによって養殖貝の成長に差が生ずることが示唆された。