カタクチイワシ太平洋系群の資源量を,自然死亡係数がマサバによる捕食で変動し,マサバ資源量の関数で表されると仮定したVPAで推定した。資源量の推定誤差に起因して,漁獲率の変動が増大すると予測されることから,未知のパラメータは漁獲率の変動が最小となるよう最適化した。漁獲率は0.03–0.18の範囲で安定していたが,自然死亡率は捕食死亡率が影響して0.65–0.91の範囲で大きく変動していた。推定結果とモデルの妥当性および資源推定の課題を検討した。
有害藻類の発生を予察する一助として,高知県浦ノ内湾における主要有害藻類ブルームの消長を漁業被害と関連づけて解析した。2010–2023年に実施した長期調査を通じて,ほぼ毎年,Karenia mikimotoiおよびChattonella spp.が赤潮に至るほどのブルームを形成し,時に混合ブルームあるいは混合赤潮を形成することによって,多大な漁業被害を引き起こすことが明確に示された。
沿岸漁業の操業域,気候,海岸地形(リアス海岸)などの自然・社会特性を共有する西南日本太平洋岸2地域(愛媛県南部,宮崎県北部)で,沿岸域の生態系サービス利用に関連する主観的評価の肯定的(満足度)・否定的(懸念)側面を定量評価し比較した。共分散構造分析の結果,人類の福利の5要素(安全,快適な生活の基本的資材,良好な社会関係,健康,選択と行動の自由)の影響関係の基本構造は国内外の既往知見と共通していた。5要素間の影響関係は2地域で異なり,津波に対する懸念の程度の違いがその一因である可能性が示唆された。