2010 年 76 巻 5 号 p. 877-885
Alexandrium tamarense 赤潮が確認された 2007 年春期に堺出島漁港で昼夜観測を行い,日周鉛直移動と環境,細胞毒量の変化を調査した。日中,遊泳細胞は表層に集中分布したが,日没後分散し,底層で密度が増加した。夜明け後は再び表層で増加しており,日周鉛直移動が確認された。細胞の毒組成に変化はなかったが,細胞毒量は日没以降夜明けまで増加傾向であった。このことから毒は夜間に蓄積すると推察され,高毒細胞が鉛直移動することで深所に分布するアカガイ等で貝毒のリスクが高くなることが示唆された。