2011 年 77 巻 4 号 p. 616-624
2003 年 10 月から 2004 年 12 月に,宗谷海峡で漁獲されたミズダコの成熟状態の季節変化を明らかにした。雌では,既交接個体の体重に対する生殖器官重量が秋から翌年春にかけて顕著に増大し,その結果,体重と生殖器官重量との関係が異なる 2 群が認められた。同様に,雄でも精莢を所持していた個体の生殖器官重量が秋から翌年春に顕著に増大して,2 群が認められた。宗谷海峡のミズダコ産卵期を初夏とすれば,生殖器官の肉眼的観察項目に加えて,体重と生殖器官重量の関係に基づいて産卵年および交接年を区分することが可能である。