2012 年 78 巻 6 号 p. 1187-1189
東日本大震災により岩手県地先の沿岸域に放置された底刺網 4 張りを回収し,漁具の状態とゴーストフィッシングの実態を評価した。回収された漁具は,設置位置からの大きな移動は認められなかったが,多くの付着物や網成りの低下が見られていた。回収された刺網によってカレイ類とカジカ類が優占する魚類と甲殻類が合計 10 種 55 個体・8,717 g 採集された。漁具間の罹網個体数に差は認められず,震災からおよそ 3 ヶ月経過した回収時においてもカレイ類やカジカ類を中心とする底魚類の罹網と死亡が繰り返されていることが示唆された。