2017 年 83 巻 3 号 p. 349-360
伊豆大島でパンチ法および光合成法の両手法によりアントクメ群落の純生産量を推定した。パンチ法による純生産量は3月から7月にかけて光合成法による値を上回った。一方で,8月から9月にかけては光環境の改善に伴い,光合成法の値がパンチ法の値を上回った。理論的には光合成法による純生産量はパンチ法の値を常に上回るはずであるが,本研究の結果はそれを支持しなかった。このことから,単状の葉状部を持つコンブ類については,生長段階ごとの葉群構造と群落内光環境との関係を再考する必要性が示唆された。