2017 年 83 巻 3 号 p. 385-391
大黒神島および周防大島における海底湧水について調査した。溶存物質濃度はいずれも周辺海域底層水に比べて湧水中で高かった。湧水面積は両者とも同程度と見積もられたが,湧水速度(量)は周防大島のほうが2.5倍大きかった。また,栄養塩等各種物質の湧出量は周防大島のほうが2ケタ程度多かった。レッドフィールド比と比較すると,大黒神島ではN, Si過剰,Fe不足であり,周防大島ではSi, Fe過剰,N不足となった。これらの湧水は,両島周辺の生態系に少なからず影響を与えているものと考えられる。