論文ID: 17-00007
1980年代以降の我が国のアサリ漁獲量の減少について,主要5海域の実態と原因に関する議論を再点検した。減少には埋め立てと乱獲が関与した可能性があったが,貧酸素,河川出水,冬季の波浪減耗,食害生物,病虫害,餌料環境等の関与が指摘され,最終的に原因が特定されている海域はなかった。漁獲量に影響する要因は時間とともに変化しているため,過去の減少と現在の回復不全の要因は異なる可能性があり,減少時期を特定した議論が重要と思われた。原因の特定には各要因の影響を定量的に評価した上での比較検討が必要であろう。