日本水産学会誌
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生化学的アプローチによるガンガゼDiadema setosumの天然餌料の検討
丹羽 健太郎黒木 洋明澤山 周平梶ヶ谷 義一寺本 航折田 亮石樋 由香渋野 拓郎早川 淳張 成年
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論文ID: 19-00015

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抄録

 神奈川県横須賀市長井地先で採集したガンガゼ(殻径47.3±2.4 mm,体重48.5±1.9 gWW, n=9)に生息場所の優占海藻である褐藻カジメを与えて1年間飼育し,平均摂餌速度を求めるとともに,海藻の消化に関わる酵素活性及び炭素窒素安定同位体比を飼育個体と天然個体で比較した。飼育個体のカジメ摂餌量は夏季に最大となり,年間平均摂餌速度は0.69 gWW day−1だった。飼育終了時でのガンガゼの消化酵素活性は天然個体のものよりも有意に高く,窒素安定同位体比は有意に高かった。栄養段階を算出した結果,天然個体の栄養段階は肉食動物に相当する3.23だったことから,本海域のガンガゼの主餌料は海藻ではない可能性が示唆された。

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