論文ID: 23-00028
日本の水産政策改革による漁獲制限の対象魚種拡大は漁業者に経済的影響を及ぼす可能性がある。本研究では漁獲制限の経済的影響を把握するため東京都中央卸売市場の日報を用いてキンメダイの需要曲線を推定した。結果として,価格伸縮性は低く供給量が減少しても価格が上昇しにくいことが示唆された。推定値を用いて漁獲制限による影響をシミュレーションした結果,供給量が30%減少すると年間販売金額は約27–34%減少すると推定された。漁獲競争が起こるシナリオでは特に下落が大きく,効果的な漁業管理政策が重要となる。