鳥取県沿岸浅海域においてヒラメ当歳魚の分布量, 全長組成, 摂餌状態および肥満度の季節的変化を調査した。また, 同様にアミ類の分布量とヒラメ1-2歳魚の胃内容物も併せて調べた。5月下旬から6月上旬まで大量に分布していたヒラメ当歳魚のうち, 小型個体は6月中旬から下旬にかけて急激に減少した。これらの個体の全長組成は沖合に移動した大型個体には結びつかないことから, 急激な減少は浅海成育場における減耗の結果と考えられた。この減少と同時期に, 小型個体の主要な餌料であるアミ類の分布量が急激に減少して, 小型個体の摂餌率と肥満度が低下し, ヒラメ1-2歳魚の胃内容物から当歳魚が出現する率が急激に上昇した。以上より, 摂餌条件の悪化に起因する飢餓の進行が被食による大量減耗を誘発したと考えられた。