スケトウダラ成魚の水平分布様式と成熟度との関係を解明するために, 1989∿1994年の10月に北海道南西部沖合においてオッタートロール綱による標本採集を行った。1994年を除いて, スケトウダラのCPUE値は沖合域より沿岸域の方が有意に高かった。また, 雄個体の占める割合も1993年と1994年を除いて沿岸域で有意に高かった。多くの雄は完熟に近く, 水域間で生殖腺重量指数の差は認められなかった。雌においては沖合域よりも沿岸域でより成熟した個体が出現した。体長の地理的変化は雌雄ともに明瞭ではなかった。本種のこの時期の水平分布は雌雄間の繁殖行動および成熟度の差に起因するものと考えられた。