抄録
膵管内乳頭状粘液腫瘍 (IPMN) は, 画像診断の進歩により遭遇する機会が多くなったが, 質的診断や治療方針に悩むことの多いのも事実である. その中で2004年の国際膵臓学会にてコンセンサス・ミーティングが開かれ, 国際的な共通認識が確立された. 腺癌からが手術適応となるが, 実際には術前における悪性度診断は容易ではない. 分枝型は特に悪性の頻度が低いため, 術前画像診断が非常に重要である. 嚢胞径30mm, 壁在結節の存在, 主膵管径10mmなどが悪性を示唆する所見とされるが, 十分満足できるものとは言えない. 一方, 治療においてはIPMNが通常型膵管癌に比べて浸潤性が乏しく予後が良好であることより, 機能温存・患者のQOL向上を目指した各種縮小手術が適応となりうる.