抄録
症例は77歳,男性.Stage IVb膵癌と診断され,Gemcitabine(以下GEM)全身投与が施行された.膵原発巣に対して投与後数ヵ月間は抗腫瘍効果を認めたが,肝転移巣に対しては無効であり,全経過9ヵ月で死亡された.剖検所見では,膵病巣の1/3未満に壊死,癌細胞の空胞化,壊死部にマクロファージの貪食像,一部線維化など,化学療法による腫瘍壊死反応を認めた.残り2/3の膵病巣と肝転移病巣は高分化管状腺癌が増殖しており,内部に壊死を認め,腫瘍自体が自壊したものと考えられた.本例ではGEMの膵原発巣に対する治療効果を病理学的に確認したが,GEM無効期の化学療法既治療例を対象とした化学療法,肝転移巣に対する治療方法の確立が重要と考えられた.