抄録
急性膵炎の診断・治療の進歩により,重症急性膵炎の死亡率は著しく低下している.重症度をできるだけ早期に判定し,重症急性膵炎と判定された場合には高次医療施設で適切な治療を受けることが救命率の改善に繋がるため,急性膵炎診療において重症度判定基準は不可欠である.しかし,我が国の急性膵炎重症度判定基準は18項目の予後因子からなる煩雑なもので,臨床現場ではきわめて使いにくい.また,類似の病態を示す予後因子の重複もみられ,発症早期に出現しにくい臨床徴候が含まれている.初期輸液が測定値に直接的に影響を及ぼす予後判定因子もみられる.単純CTは膵病変の評価が難しく,CT Gradeも死亡率と相関していない.また,判定基準では,軽症・中等症・重症に分類されているが,軽症・中等症は死亡率にも差がなく,治療方針が同じであり,これを分ける臨床的意義は少ない.こうした問題点をふまえて現在,改定案が作成されている.