抄録
近年,注目されている自己免疫性膵炎の報告は急増しており,膵外病変や周辺疾患の位置づけも含め,その概念も変遷しており,海外でも診断基準が提唱されている.最初の自己免疫性膵炎の診断基準であるわが国の「自己免疫性膵炎診断基準2002」もその不備が指摘されるようになり,平成15年度より厚生労働省難治性膵疾患調査研究班の班員·研究協力者によるワーキンググループが組織され,約2年余におよぶ論議を経て,診断基準改訂試案がまとめられた.この改訂試案に対する厚生労働省難治性膵疾患調査研究班と日本膵臓学会の共催による2回の公開討論会(第1回,平成17年10月7日,神戸市.第2回,平成18年4月22日,福岡市)の論議を経て修正された改訂案をもとに「自己免疫性膵炎臨床診断基準2006」が公表された.海外の診断基準との最大の違いは,膵病変に対する診断基準であることと,膵癌との鑑別を特に配慮したことにより,ステロイドの試験的投与を除外したことである.