膵臓
Online ISSN : 1881-2805
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特集:膵炎研究モデルの作製,選択,適用
急性膵炎モデル:重症急性膵炎腹水を用いた実験系
安田 武生竹山 宜典上田 隆中島 高広沢 秀博新関 亮大柳 治正
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2008 年 23 巻 1 号 p. 31-35

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抄録
重症急性膵炎モデルとしてラット胆汁酸膵管内注入モデルなどが頻用されるが,in vivoのモデルだけでは分子機構の解析や再構成実験として限界がある.我々は重症急性膵炎の臓器障害におけるアポトーシスの関与と分子機構を解明するため,ラットDCA(デオキシコール酸)膵炎の腹水(pancreatitis-associated ascitic fluid;PAAF)を培養細胞(肝細胞,腎尿細管細胞,腸管上皮細胞)に添加するin vitroの実験系を確立している.最近では,in vivoにおいて腸管粘膜上皮のアポトーシスが加速し,アポトーシスを抑制することにより腸管粘膜上皮が保護され, bacterial translocationが減少することを明らかにした.実際,PAAFをT84細胞(ヒト腸管上皮)に添加するとアポトーシスが増強し,電気抵抗が減弱(透過性が亢進)していることが確認できた.PAAFを用いた実験系は,重症急性膵炎に特異的な臓器障害機構や感染成立機構の解明に有用である.
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© 2008 日本膵臓学会
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