質的心理学研究
Online ISSN : 2435-7065
食事における容器操作の縦断的研究
容器の発見と利用の過程
青木 洋子
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2011 年 10 巻 1 号 p. 25-45

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抄録
乳幼児の容器操作の発達を分析するため,容器を用いる日常行為である食事場面を,食器への接触が最初に観察された生後 8 ヶ月 27 日から 12 ヶ月間縦断的に観察した。その結果,分析 1 では出現した操作の種類が明らかとなった。また、観察期間中に特に[入れる],[食具を入れる],[戻す],[入る]操作の増減の割合が高かったことが分かった。そこで分析 2 では,これらの食器に食物や食具を入れる操作を,容器が持つ異なる意味の利用過程として検討した。生後 10 ヶ月 30 日から,食器に偶然食物が入る時期があり,その後テーブルと食器内の両方で食物をいじる様子が観察された。1 歳 1 ヶ月 22 日からは,食器に食物を入れる,盛り付けてあった食器に戻す,食具を置く,食器間で出し入れする,食器内で入れ替える,食べる食物を入れ食べない食物を出す,食べた後の食物を食器に戻す,自分の食器に入れるといった容器利用のバリエーションが観察された。月齢によって,食器は異なる意味を持った場所として利用されているようであった。
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© 2011 日本質的心理学会
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