膵臓
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症例報告
膵十二指腸動脈瘤破裂に対し行ったTAEにおいてコイルの選択に苦慮した1例
高見 一弘神賀 貴大高橋 良延小針 正人神山 篤史大和田 康夫
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2010 年 25 巻 6 号 p. 687-692

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抄録

症例は40歳代,男性.突然の腹痛と背部痛が出現し救急車にて当院救急外来受診した.右腹部全体に強度の圧痛と右上腹部には腫瘤を触知し,腹部CT所見では後腹膜に広範囲の血腫を認め,3D-CTでは膵十二指腸動脈瘤が確認された.動脈瘤の精査加療目的に腹部血管造影検査を施行したところ,上腸間膜動脈造影にて前下膵十二指腸動脈と前上膵十二指腸動脈のアーケードに径8mm大の動脈瘤を認めた.これに対し動脈瘤を中心とし中枢・末梢両側塞栓によるTAEを施行した.TAE後のCTでは動脈瘤の消失を認め,その後再出血もなく外来follow中である.膵十二指腸動脈瘤は稀な疾患で腹部内臓動脈瘤の約2%と報告されている.近年IVRの進歩に伴い,手術治療よりも侵襲の低いTAEによる治療報告が増えている.今回,われわれは,膵十二指腸動脈瘤破裂に対するTAEにより止血,救命し得た1例を経験した.本症の様な動脈瘤の末梢側血管の塞栓においては血行動態と血管径を考慮し,より大きなコイルを選択する必要がありこの点に関し考察を加え報告する.

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© 2010 日本膵臓学会
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