抄録
膵癌は予後不良な癌腫であり,早期診断が極めて重要である.各種画像診断の進歩は著しく,MDCTやMRI機器の発達,EUSの普及と技術の向上により,小膵癌の発見数は増加している.当センターで経験した通常型膵管癌693例のうち,最終病理診断にて2cm以下のTS1膵癌は32例(4.6%)であった.これらTS1膵癌に対するMDCT,DWIおよびEUSでの診断能の比較検討を行った結果,腫瘤描出率はMDCT 92.3%,DWI 77.8%,EUS 100%であり,質的診断はMDCT 84.6%,DWI 77.8%,EUS 96.8%であった.さらに,これらの組み合わせによる総合診断では全例に膵癌と診断し得た.MDCT,DWI,EUSを活用することで,小膵癌の診断が可能な状況になったと考える.