膵臓
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特集:膵臓・膵島移植の現況と最新の研究
生体膵臓移植
剣持 敬
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2011 年 26 巻 2 号 p. 153-160

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抄録

当施設では2010年末までに,生体膵臓移植16例(14例が生体膵・腎同時移植)を施行した.ドナーの適応は日本膵・膵島移植研究会のガイドラインを遵守した.6例は血液型不適合間の移植であった.ドナー手術は左腎摘術,膵体尾部切除術をHALSで行った.レシピエントは全例が1型糖尿病で,糖尿病性腎症はIV期,V期であった.血糖コントロールは極めて不良で,低血糖発作も頻回であった.移植手術は,左腸骨窩に腎臓移植,右腸骨窩に膵臓移植を行い,膵液は膀胱ドレナージとした.免疫抑制法は4剤併用としABO血液型不適合では脱感作療法を行った.ドナーは全例合併症なく退院した.レシピエントは全例透析離脱し,1例を除きインスリン離脱した.ABO血液型不適合症例も適合例と同等の成績を示した.生体膵臓移植は,長期待機が不要,安全性が高い,ABO血液型不適合も可能などの利点があり,重症1型糖尿病腎不全の治療法のオプションとしての意義を有すると考える.

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© 2011 日本膵臓学会
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