膵臓
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特集:膵臓・膵島移植の現況と最新の研究
膵移植後の膵機能
松久 宗英
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2011 年 26 巻 2 号 p. 161-168

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抄録

膵移植は1型糖尿病において長期のインスリン離脱が期待できる唯一の根治治療である.本邦の膵移植後生存率や膵グラフト生着率は欧米に匹敵する優れた成績であるが,移植後インスリン離脱に時間を要する遷延性膵グラフト機能を呈する場合が多い.この理由として,高齢で死戦期に複数の昇圧剤を用いるマージナルドナーである場合が多いこと,また移植後急性期は免疫抑制薬を高用量必要とすることが挙げられる.そこで,インスリン離脱やグラフト障害を予知するため,移植後早期から膵グラフト機能の正確な評価が必要となる.筆者らは膵移植後72時間に人工膵島を用いた厳格な血糖管理を実施し,その時の必要インスリン量が1年の経過において,膵グラフト機能を反映する指標であることを見出している.これからの膵グラフト機能の長期安定化に向けて,β 細胞保護療法の確立が望まれるが,現状では移植後チーム医療による生活習慣への積極的介入が有効と考えられる.

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© 2011 日本膵臓学会
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