背景:糖尿病患者は年々増加しており,成人の5人に1人は糖尿病と言われている.糖尿病は膵癌のリスクファクターであるが,さらにその中から膵癌のハイリスク群を見分けることができれば,早期発見,治療につながると考えられる.目的:糖尿病患者における膵癌の予測因子を明らかにする.対象および方法:当科で経験した39例の糖尿病合併膵癌症例についてカルテ調査にて臨床的特徴を検討した.結果:糖尿病患者における膵癌予測因子として,喫煙と癌の家族歴があげられた.膵癌診断までの1年間で血糖コントロールは悪化し体重は減少していた.糖尿病の罹病期間が2年未満の症例および糖尿病と膵癌同時診断症例では,糖尿病の家族歴を認めず,膵性糖尿病であったと考えられた.結語:糖尿病患者における血糖悪化および体重減少,糖尿病家族歴のない新規発症糖尿病患者に対しては,膵癌を疑って迅速にスクリーニングするべきと考えられた.