2013 年 28 巻 1 号 p. 98-103
症例は42歳の男性で,他院で数年前よりアルコール性慢性膵炎を指摘されていた.食欲不振の精査目的で紹介され,腹部CTで膵仮性嚢胞を認めた.その5日後に発熱を主訴に再来院し,再度胸腹部CTならびにMRI検査を施行したところ,膵仮性嚢胞の急速な増大と縦隔内への進展を認めたため,緊急開腹下に縦隔ドレナージと腹腔内膵嚢胞ドレナージを施行した.縦隔内貯留液のアミラーゼ値は高値であり,膵仮性嚢胞が食道裂孔を経て縦隔内進展したことによる縦隔炎と診断した.25病日に軽快退院し,術後2年の現在も再燃なく外来にて経過観察中である.