抄録
症例は45歳の男性.直腸癌に対して2007年7月に直腸切断術を施行しpA,N1,M0,Stage IIIaと診断した.術後テガフール・ウラシル,ホリナートによる補助化学療法を半年間施行した.2008年7月に肺転移を指摘され切除術を施行し,半年間mFOLFOX6による化学療法を行った.以後再発なく経過していたが,2011年5月にCTにて45mm大の膵体部腫瘤を指摘され,原発性膵癌cT3,N0,M0,Stage IIIの術前診断の下,膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的検査にて既往の直腸癌に類似した組織像を認め,免疫染色にてCK7陰性・CD20陽性であったことから直腸癌膵転移と診断した.術後XELOXによる化学療法を半年間施行し,無再発経過観察中である.大腸癌膵転移は比較的稀であり切除症例はさらに少ないが,厳密な画像評価を行った上での根治切除術は選択されるべき治療方針であると考える.