2013 年 28 巻 6 号 p. 691-698
膵神経内分泌腫瘍は比較的稀な疾患であるが,近年注目されている領域である.機能性腫瘍と非機能性腫瘍に分けられるが,症状が認められてから診断までに時間がかかった症例も少なくなく,診断時既に遠隔転移が認められる症例も多い.基本的に悪性腫瘍であるが,治療方針を決定する上で,正確な診断(存在診断・局在診断・病理診断)が極めて重要である.多発性内分泌腫瘍症1型など遺伝性疾患を合併することがあり,治療開始前に鑑別しておく必要がある.診断における血中クロモグラニンA測定やソマトスタチンレセプターシンチグラフィによる腫瘍の局在診断は有用であり,欧米では使用されているが本邦では保険収載されていない.国際標準的な診断体系の本邦における確立が今後の課題である.