膵臓
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特集 膵基礎研究:膵疾患の病因・病態解明に挑む
急性膵炎におけるInnate Immunity
渡邉 智裕辻 喜久千葉 勉
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2014 年 29 巻 1 号 p. 45-50

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抄録

膵臓腺房細胞におけるTrypsinogenを中心とする膵酵素の過剰な活性化とそれに引き続く膵組織の自己消化が急性膵炎の発症に中心的な役割を果たすと考えられてきた.しかしながら,Trypsinogenの発現が極めて低い状況下においても,急性膵炎が誘導されることが報告され,急性膵炎の発症にはTrypsinogenの活性化に加えて,様々な免疫反応が関与することが示唆されている.膵炎発症モデルマウスを用いた最近の研究により,急性膵炎の発症には自然免疫反応が関与することが示唆されている.急性膵炎の発症に伴い,膵組織へ移行する腸内細菌や膵組織の壊死に伴って放出される内因性自己抗原が自然免疫活性化分子として機能し,宿主の自然免疫反応受容体を活性化し,急性膵炎の病態形成に重要な役割を果たすことが明らかになっている.

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© 2014 日本膵臓学会
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