抄録
1993年のアトランタ基準では"重症急性膵炎"は,膵壊死か多臓器不全をきたした場合と定義された.一方,近年,欧米のガイドラインが改訂され,膵壊死合併膵炎は中等度重症,膵壊死の合併にかかわらず48時間以上継続する臓器不全を有した場合を重症急性膵炎とした.発症早期の膵壊死は,多臓器不全を予測するための予後因子の一つということになり,初療時に壊死診断・予測を行うことの重要性は決して損なわれてはいない.こうした観点から,本稿では,重症急性膵炎における初期病態,とくに発症早期の膵壊死の形成と,その背景としての循環不全・血管内皮障害の関係について,新しいModalityであるPerfusion CTで得られた知見を交えながら概説する.