抄録
症例は75歳男性で,直腸癌(Ra)に対して腹腔鏡補助下直腸低位前方切除術(D3郭清)を行った.病理組織学的検査では乳頭腺癌,se,ly0,v2,N0,P0,H0,M0,Stage IIであった.直腸癌術後1年6か月後に右肺転移,2年9か月後に左副腎転移をきたし,それぞれ切除術を施行している.初回手術より4年8か月後にCTにて膵鉤部に3cm大の腫瘤を認め,転移性膵腫瘍が疑われた.他に転移を疑う所見は認めず,4年10か月時点で膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的には免疫染色でCK7(-),CK20(+)であり,直腸癌の膵転移と診断した.術後1年9か月が経過した現時点で再発を認めていない.直腸癌の膵転移は比較的まれであり,さらに外科的切除が可能である症例はまれと考えられるが,切除により予後の改善が期待できる症例も存在すると考えられるため,若干の文献的考察を加え報告する.