膵臓
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症例報告
骨形成を伴った破骨細胞型退形成性膵管癌の1例
小林 裕幸野嵜 英樹清水 稔榊原 巧岡田 学梅田 晋一
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2014 年 29 巻 2 号 p. 271-276

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抄録
退形成癌は浸潤性膵管癌の1組織型で比較的稀な疾患である.今回極めて稀な骨形成を伴った破骨細胞型退形成性膵管癌を経験したので報告する.症例は61歳男性で吐血のため外来を受診した.腹部CT検査にて膵尾部に7×5cm大の充実性腫瘍を認め,腫瘍の辺縁ならびに内部に石灰化も認めた.MRI検査にて腫瘍内部に出血,壊死を認めた.膵腫瘍の診断にて手術を施行した.膵尾部に非常に固い腫瘍を触知し,膵体尾部切除,脾臓摘出術を施行した.病理組織検査では,腫瘍は核異型が強い未分化な細胞で構成されており管状構造はほとんど見られなかった.また破骨細胞類似の巨細胞を散見し,成熟した骨組織の形成も認めた.免疫組織化学検査では腫瘍の広い範囲でvimentinが陽性であった.骨形成を伴った破骨細胞型退形成性膵管癌と診断した.塩酸ゲムシタビン,S-1による術後補助化学療法を施行した.
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© 2014 日本膵臓学会
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