膵臓
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症例報告
急性膵炎を契機に発見された紡錘細胞型膵退形成癌の1例
路川 陽介中原 一有末谷 敬吾森田 亮北川 紗里香白勢 大門小林 慎二郎大坪 毅人土居 正知高木 正之伊東 文生
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2016 年 31 巻 1 号 p. 85-92

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抄録

症例は51歳,男性.背部痛を主訴に受診した.血中アミラーゼ(475IU/l)と尿中アミラーゼ(3945IU/l)の上昇を認め,腹部造影CTにて膵頭部に15mm大の低吸収腫瘤および膵体尾部の腫大がみられた.膵腫瘍疑いおよび急性膵炎の診断でPET-CT施行したところ,膵頭部にFDGの集積を認めたため,膵腫瘍精査目的にて入院となった.血液検査ではCA19-9 178U/ml,DUPAN-2 199U/ml,Span-1 71U/mlと腫瘍マーカーの上昇を認め,内視鏡的逆行性膵管造影時に行った膵液細胞診はclass IIIであったが,画像所見から膵頭部癌と診断し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織所見は,退形成癌(紡錘細胞型),pT2,pN3,M0,fStage IVbであり,術後化学療法を施行したが術後1ヶ月で局所再発,3ヶ月で多発肝転移,腹膜播種を認めた.

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© 2016 日本膵臓学会
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