膵臓
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症例報告
von Hippel-Lindau病に合併した多発性膵神経内分泌腫瘍の1例
南出 竜典和田 将弥谷口 洋平福島 政司森田 周子占野 尚人井上 聡子鄭 浩柄杉之下 与志樹今井 幸弘猪熊 哲朗
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2016 年 31 巻 2 号 p. 150-157

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抄録

症例は19歳女性.発汗過多,高血圧を主訴に当院を受診し,精査の結果両側副腎褐色細胞腫だけでなく多発する膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor;PNET)を認めた.多臓器腫瘍,家族歴を踏まえてvon Hippel-Lindau病(VHL病)の診断に至った.膵病変に対しては,膵機能温存の観点から膵全摘を回避し,膵体尾部切除術,膵頭部腫瘍核出術を施行した.病理組織学的検討では,切除標本内に術前に指摘しえたPNETに加えて複数のPNETが認められたが,これらは病変サイズが小さいことからも診断困難であったと考えられる.VHL病においては,膵病変を含めて同時性・異時性に腫瘍が多発しうることに留意し,慎重な術式選択,経過観察が重要である.

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© 2016 日本膵臓学会
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