2016 年 31 巻 6 号 p. 799-804
膵癌取扱い規約第7版では,術前の膵ダイナミックCT画像に基づく「切除可能性分類」が収載された.国際的な比較検討を容易にするため,すでに流布しているNCCNガイドラインを尊重しつつ,我が国の現状に合い,シンプルなものを目指し,術前診断に大きな役割を果たす内科医,放射線診断医にとっても理解しやすい,客観性,再現性のあるものとした.特にSMV/PV浸潤における「切除再建が可能かどうか」という主観的な基準は避け,浸潤が「十二指腸下縁」を越すか否かで切除可能境界(BR)と局所進行切除不能(UR-LA)を分類することとした.「切除可能性分類」の最終的な目的は,外科治療を含めて膵癌治療成績を向上させることであるが,適切なR0手術と最良の術前術後の補助療法を明らかにするため,国際的に同じ土俵で比較検討,議論を進め,エビデンスを出すことが望まれる.