膵臓
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原著
膵癌に対する膵体尾部切除術後膵液瘻のリスク因子についての検討
松本 奏吉渡邉 雄介倉田 加奈子西原 一善中野 徹
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2017 年 32 巻 2 号 p. 155-161

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抄録

膵体尾部切除術後の膵液瘻は頻度の高い合併症であり,後出血や腹腔内膿瘍などの他の合併症の原因ともなり得る.今回我々は膵癌に対して膵体尾部切除術を施行した40例を対象に膵液瘻のリスク因子を後ろ向きに検討した.術前糖尿病非合併と膵切離部実質の厚さが14mm以上であることが膵液瘻の独立したリスク因子であった.膵切離法(リニアステープラーとfish mouth法)や術者(修練医と指導医)は膵液瘻発症に影響していなかった.指導医執刀例で男性が有意に多く,肥満例が多い傾向にあり,修練医執刀例は全例でリニアステープラーでの膵切離を行っていた.修練医の安全な執刀には,適切な患者選択と膵切離法を含めた術式の標準化が必要であると考えられた.術前の糖尿病合併と術後膵液瘻発症に関する報告は少ないが,本研究では術前糖尿病非合併が膵癌に対する膵体尾部切除術後膵液瘻のリスク因子と考えられた.

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© 2017 日本膵臓学会
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