2017 年 32 巻 4 号 p. 736-742
症例は75歳の女性.心窩部痛を主訴に受診した.腹部造影CT検査で膵体部に2.5cm大の腫瘍および脾動脈から腹腔動脈周囲にかけて軟部陰影を認め,神経浸潤を伴う膵体部癌と診断した.術前化学療法を施行した後,腹腔動脈合併膵体尾部切除を行った.術後病理組織検査で,腺癌に加えて扁平上皮癌の成分も認め,腺扁平上皮癌と診断した.また背景の膵臓の間質には多数の形質細胞浸潤と著明な膠原線維の増生が見られ,IgG4陽性形質細胞の浸潤,花筵状線維化,閉塞性静脈炎を認め,1型自己免疫性膵炎と診断した.自己免疫性膵炎を併発した膵癌の報告は散見されるようになったが,腺扁平上皮癌に併発した報告はなく,興味深い症例であると考え,文献的考察を加えて報告する.