膵臓
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症例報告
68Ga-DOTATOC集積を示した腫瘤形成性膵炎の1例
三宅 隼人保田 宏明提中 克幸諏訪 兼敏加藤 隆介土井 俊文十亀 義生阪上 順一安川 覚柳澤 昭夫水野 智恵美水野 雅之伊藤 義人
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2017 年 32 巻 6 号 p. 882-890

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抄録

症例は60代女性.健康診断時,体表式腹部超音波検査にて膵腫瘤を指摘された.前医にてEUS-FNAを含めた精査が行われたが確定診断には至らず,精査加療目的に当院紹介受診となった.CTでは膵頭部・膵体部・膵尾部にそれぞれ15mm大,20mm大,30mm大の病変を孤立性に認めた.前医細胞診にてN/C比の高い類円形細胞を多数認めたことから神経内分泌腫瘍の可能性は否定できず,68Ga-DOTATOC-PET/CTを施行したところ,各病変に集積を認めた.当院にてEUS-FNAを再検,病理組織診では炎症性変化のみで明らかな腫瘍性病変や自己免疫性膵炎を示唆する所見は認めなかった.免疫染色では集簇したリンパ球にSSTR2陽性所見を認め,68Ga-DOTATOC-PET集積を示した原因と考えられた.以上より腫瘤形成性膵炎の最終診断となり,現在は外来にて経過観察を行っているが明らかな形態学的変化は認めていない.

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© 2017 日本膵臓学会
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