2020 年 35 巻 1 号 p. 91-96
症例は47歳,女性.健診の腹部超音波検査で,膵尾部に嚢胞性病変を指摘され,当院へ紹介された.腹部造影CT検査では,膵尾部端に,内部隔壁を伴う最大径46mmのcyst in cyst様構造を呈する多房性嚢胞を認めた.MRI検査では,嚢胞内容液がT2強調画像でまだらに高信号を呈していた.EUS検査では,嚢胞内部にechogenicな構造物を認め,同部位は小嚢胞の集簇像を呈していた.以上より,膵粘液性嚢胞腫瘍と診断し,腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した.肉眼的には,脾辺縁から発生し,膵尾部方向に発育する脾嚢胞で,内部に黄色泥状物を含有していた.病理組織学的には,嚢胞は重層扁平上皮に覆われており,脾類表皮嚢胞と診断した.本症例のように,脾発生の類表皮嚢胞であっても,膵尾部方向に発育すると,膵嚢胞性疾患との鑑別が非常に困難になるので,治療前診断には注意を要する.