膵臓
Online ISSN : 1881-2805
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特集 膵疾患(膵癌)(慢性膵炎を含む)のサポーティブ・ケア
臨床の現場で経験した膵性糖尿病の問題点
松本 敦史柳町 幸佐藤 江里山一 真彦中山 弘文藤田 朋之大門 眞石戸 圭之輔袴田 健一中村 光男
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2020 年 35 巻 2 号 p. 153-161

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抄録

膵外分泌不全を伴う膵性糖尿病では,良好な血糖コントロールだけでなく,良好な栄養状態を維持することが重要である.そのために,膵外分泌不全の診療では,①食事療法,②消化吸収能,③栄養状態を,栄養評価の三位一体として捉え,インスリン治療と共に,十分な食事摂取,適切な膵酵素補充療法を行い,それを継続し,栄養状態を常に評価することが重要である.

しかし,適切な治療が行われていたとしても,緊急入院・主治医の変更など変化があった場合に,膵酵素補充療法が中止されてしまうリスクがある.その背景には,膵性糖尿病の病態・治療への理解が不十分なため,食事・消化吸収不良・栄養状態が考慮されず,血糖コントロールのみに注意がいくことが挙げられる.

我々は,膵切除術後の経過でインスリンおよび膵酵素補充療法の中断があり,栄養状態の悪化した膵性糖尿病例を経験したので,症例を提示し問題点を明らかにする.

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© 2020 日本膵臓学会
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