2020 年 35 巻 6 号 p. 551-558
背景:慢性膵炎は内科治療が困難な際に手術適応があるが,その至適時期については,明らかにされていない.
目的:慢性膵炎手術症例において術前の有病期間と術後成績を解析し,手術の至適時期を検討する.
方法:2005年1月~2016年4月に当科で慢性膵炎に対し,膵管ドレナージ術を施行した50症例を,発症から手術までの期間が5年未満の早期群と5年以上の晩期群に分け,その成績を検討した.
結果:患者背景,手術成績,周術期成績は両群間で有意差は認めなかった.疼痛は両群ともに有意に改善した.手術前後で栄養状態は両群ともに改善を認め,両群間で有意差は認めなかった.新規の糖尿病や膵癌発症は認めなかった.
結論:膵管ドレナージ術は罹患期間に関わらず有用であった.手術成績に差がないことから,内科的治療に抵抗性となった場合,早期手術は有病期間を減じ,QOLを改善することが可能と思われる.