膵臓
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特集 切除可能膵癌に対する標準治療:術前治療の意義
切除可能境界膵頭部癌に対するGEM+nab-パクリタキセルによる術前治療の成績
井上 陽介大庭 篤志小野 嘉大佐藤 崇文伊藤 寛倫佐々木 隆尾阪 将人笹平 直樹髙橋 祐
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2021 年 36 巻 1 号 p. 73-81

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抄録

切除可能境界(BR)膵頭部癌に対するGEM+nab-パクリタキセル(GNP)による集学的治療の成績を,先行切除(SU)治療の成績と比較検討する.当科では2014年までBR膵癌に対してSU,2015年以降GNPによる術前治療後切除に変更した.2008~2018年でのBR膵頭部癌123例(NAT 47例 vs. SU 76例)の短期長期成績を比較した.全コホートの全生存(生存期間中央値, 31.5 vs. 18.1ヶ月,P=0.047),無増悪生存(16.8 vs. 9.0ヶ月,P=0.008)はNATが優れていた.切除例では,短期成績は同等で,在院日数はNAT群で短く(24.5 vs. 28日,P=0.016),組織学的根治(R0)率はNAT群が優れていた(89 vs. 64%,P=0.0051).BR膵癌に対するGNPを用いた集学的治療は,安全面・有効性において重要な選択肢である.

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© 2021 日本膵臓学会
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